静かな闇に
コンチキチンの音がひびく
灯りを頼りに、階段を上った先を覗く
人の姿は見えず
確かな音色だけ
音が鳴りやんだ
子供たちが駆け下りてくる
自転車の後ろに浴衣を着た子らを乗せて、
各家々へと帰って行った
闇に消えていく後姿
大人たちに囲まれてひそむ
声なき声
声をひそめるのが
限界になったそのとき、
やっとほんとうのことが言える
闇の向こうに消えていく
得体のしれないものたちをかき消す灯り
遠くに響く
子供たちの笑い声